導入
M-1グランプリは毎年欠かさず見ているけど、「審査員の言っていることの深い意味が、いまいちピンとこない…」「このネタ、面白いのはわかるけど、どこがどう凄いのか上手く説明できない…」なんて感じたことはありませんか? まさに私がそうでした。お笑いは大好きなのに、その面白さの核心を掴みきれていないような、もどかしい気持ちをずっと抱えていたんです。そんな時、2023年のM-1王者、令和ロマンの高比良くるまさんが本を出すと知り、「あの天才の頭の中を覗けるなら!」と、迷わず楽天ブックスで予約開始日にポチってしまいました。発売日の2025年2月20日、心待ちにしていた一冊が到着。読んでみた結果、これはただのファンブックではありませんでした。漫才という芸術を解剖するような、知的興奮に満ちた最高の「教科書」だったんです!
この商品について
今回ご紹介するのは、お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまさんが執筆した書籍『漫才過剰考察』です。価格は1760円(税込)で、私は普段から利用している楽天ブックスで購入しました。この本は、M-1グランプリ2023で王者に輝いた現役漫才師が、自身の経験と膨大な知識、そして鋭い分析力をもとに、漫才の構造やテクニック、面白さの源泉について深く掘り下げた一冊です。トッププロが何を考え、どのように漫才と向き合っているのかを知ることができる、非常に貴重な内容となっています。
実際に使ってみた感想
発売日に楽天ブックスから届いた包みを開けた瞬間、まずアカデミックな雰囲気すら漂うクールな装丁に期待が高まりました。ページをめくると、余白が少なめで文字がぎっしり。一瞬「うっ、難しそう…」と身構えましたが、読み始めるとその心配はすぐに消え去りました。まるで、くるまさんが隣でコーヒーでも飲みながら、早口でまくし立てるように語りかけてくるような、ライブ感のある文章なんです。
正直なところ、購入前は「タレント本みたいな軽いエッセイかな?」と少しだけ思っていた部分もありました。しかし、それはとんでもない間違い。本書は、漫才を愛しすぎるがゆえに「過剰」なまでに分析・考察を重ねた、超本格的な「漫才学」の専門書でした。期待を遥かに超えるその深さと熱量に、ただただ圧倒されました。
「ボケの多義性」や「ツッコミの機能」といった理論的な話も、具体的な芸人さんの名前や有名なネタを例に出しながら解説してくれるので、頭の中に「ああ、あのネタのあの部分か!」と映像が浮かび、スッと理解できます。まるで大学で一番面白いと評判の教授の講義を受けているような、知的好奇心が満たされまくる読書体験でした。
良かったポイント3つ
この本を読んで特に「これは凄い!」と感じた点を3つに絞ってご紹介します。
ポイント1:漫才の「解像度」が爆上がりする
これまで何となく「面白いな」と感じていた笑いの正体が、くっきりと輪郭を持って見えてくる感覚です。本書を読んだ後では、テレビで漫才を見る目が全く変わりました。「このボケはフリが効いてるな」「今のツッコミは、あえてボケを泳がせてから指摘するタイプか…」など、今まで気づかなかったプロの技術が手に取るようにわかるようになります。特にM-1などの賞レースでは、審査員のコメントの意図が深く理解できるようになり、お笑い観戦が何倍も、いや、何十倍も楽しくなりました。
ポイント2:天才の思考プロセスを追体験できる
M-1王者が普段どんなことを考え、どれほどの熱量でネタ作りに向き合っているのか。その貴重な思考の断片を、これでもかと浴びることができます。一つのボケを成立させるために、どれだけ多角的で緻密な考察が重ねられているのかを知り、衝撃を受けました。これは単なるお笑いの話に留まりません。何かを創り出すクリエイティブな仕事をしている人にとっては、課題解決やアイデア発想のヒントが満載だと感じました。
ポイント3:読み物として純粋に面白い
非常に専門的でディープな内容を扱っているにもかかわらず、全く退屈させない文章力はさすがの一言です。くるまさんらしい独特の比喩表現や、思わずクスッと笑ってしまうようなユーモアが随所に散りばめられており、学術書を読んでいるというよりは、極上のエンターテイメントを味わっている感覚でした。知的な刺激と笑いを同時に提供してくれる、唯一無二の一冊です。
注意点や改善してほしい点
絶賛してきましたが、正直なレビューとして気になった点も少しだけ。
お笑いに詳しくないと少し難しいかも?
本書では、かなりマニアックな芸人さんの名前や、特定のネタを知っていることを前提に話が進む部分が時々あります。コアなお笑いファンなら「そうそう!」と膝を打つ場面ですが、ライトなファン層からすると、少し置いてけぼりに感じてしまうかもしれません。簡単な用語解説や、言及されたネタの簡単な説明があれば、さらに多くの読者が楽しめたかなと思います。
図やイラストがもっとあれば…
文章だけでも非常に面白いのですが、漫才のフォーメーションやボケとツッコミの関係性などを、簡単な図やイラストで解説してくれるページがあれば、視覚的にもっと理解が深まったように感じます。文字情報が主体なので、活字が苦手な方は少し読み疲れてしまう可能性もあるかもしれません。
どんな人におすすめか
この本は、以下のような方に特におすすめしたいです。
- M-1グランプリを毎年欠かさず見る人
審査員がなぜその点数をつけたのか、ネタのどこが評価されたのかがクリアにわかるようになります。次回のM-1観戦が、これまでとは比較にならないほど面白くなることを保証します。 - お笑いが好きで「なぜ面白いのか」を言語化したい人
感覚的に楽しんでいた「笑い」を、ロジカルに分析・理解したいという知的好奇心旺盛な方にぴったりです。友人にお笑いの魅力を語る際の言葉の解像度が格段に上がります。 - 令和ロマンのファンの方
これはもう言うまでもありません。高比良くるまさんの才能と漫才への深い愛情を再認識できる、ファン必読のバイブルです。彼らの漫才が、これまで以上に愛おしくなるはずです。 - 企画やプレゼンなど、アイデアを考える仕事をしている人
人を惹きつける構造や、面白さのロジックは、ビジネスシーンにも応用できる普遍的なものです。クリエイティブな思考法を学ぶためのヒントが詰まっています。
まとめ
『漫才過剰考察』は、単なる人気芸人のエッセイではありませんでした。お笑いという文化を心から愛し、探求し続ける一人の研究者による、情熱と知性がほとばしる論文のような一冊です。この本を読んだ後では、もう二度と以前と同じようにお笑いを見ることはできないでしょう。あなたの「お笑いライフ」を間違いなく豊かにしてくれる、価格以上の価値がある名著です。お笑いが好きなすべての人に、心からおすすめします。

