導入
「なんで私ばっかりこんなに大変なの…?」
「夫は父親になった自覚があるの?」
産後、こんな風にパートナーに対してイライラしたり、言いようのない孤独感に襲われたりした経験はありませんか? 我が家もまさにその状態で、第一子が生まれた2021年の秋頃は、夫婦の会話はほとんどなくなり、顔を合わせれば些細なことで喧嘩ばかり。このままではまずい、と思っていた時にSNSで見かけたのが、この「ふたりは同時に親になる 産後の「ずれ」の処方箋」でした。タイトルが当時の私の心境に突き刺さり、すがるような思いで楽天ブックスの購入ボタンをクリック。
結論から言うと、この本は我が家の危機を救ってくれた恩人のような一冊です。もっと早く、できれば妊娠中に出会いたかったと心から思いました。この記事では、なぜこの本が産後の夫婦におすすめなのか、実際に読んで感じたことを正直にレビューしていきます。
この商品について
今回ご紹介するのは、狩野さやかさん著の「ふたりは同時に親になる 産後の「ずれ」の処方箋」という書籍です。私は2021年10月5日に、楽天ブックスで1650円(税込)で購入しました。この本は、子どもが生まれた後に夫婦の間に生じる認識や価値観、心身の状態の「ずれ」に焦点を当て、その原因と具体的な対策を「処方箋」として提示してくれる内容になっています。単なる精神論ではなく、男女の脳の違いやホルモンの影響といった科学的根拠も交えながら、夫婦が再び同じ方向を向くためのヒントが詰まっています。
実際に使ってみた感想
まず本を手に取った第一印象は、「私のための本だ…」でした。ページをめくるたびに「そう!そうなの!」「これ、うちのことだ…」と、共感の嵐。これまで言葉にできなかった自分のモヤモヤやイライラの正体が、次々と明確な言葉で解説されていく感覚は、まさに目から鱗でした。
この本の素晴らしい点は、マンガやイラストが豊富で、非常に読みやすいことです。育児の合間の細切れ時間でも、スッと頭に入ってきます。特に、妻側と夫側、両方の視点から「ずれ」の原因が描かれているのが秀逸でした。夫がなぜ「言われないとやらない」のか、なぜ「悪気なく妻をイラっとさせる」のか。その背景にある思考パターンを知れたことで、夫への怒りが「そういうことだったのか」という理解に変わっていったのです。
正直、読む前はよくある夫婦円満系の本だろうと少し侮っていました。しかし、本書は期待を遥かに超える深い洞察と、今日からすぐに実践できる具体的なアクションプランに満ちていました。読後は、夫と冷静に話し合うための「共通言語」を手に入れたような感覚で、実際に本の内容を元に夫婦で対話する時間を作ったところ、驚くほど建設的な話し合いができたのです。
良かったポイント3つ
この本を読んで特に「これは買ってよかった!」と感じたポイントを3つご紹介します。
ポイント1:夫の「なぜ?」が理解できる
産後の妻が抱く不満の一つに、「夫が父親としての自覚に欠ける」というものがあります。私もそう感じていましたが、この本は夫側の心理を非常にリアルに解説してくれます。「妻を助けたい気持ちはあるのに、何をすればいいか分からない」「良かれと思ってやったことが裏目に出て自信をなくす」といった男性側の本音を知り、夫も夫なりに悩み、苦しんでいたのかもしれない、と初めて思えました。一方的に責めるのではなく、相手の立場を理解しようとする姿勢が生まれたのは、大きな収穫でした。
ポイント2:すぐに使える「処方箋」が具体的
本書の魅力は、問題提起だけで終わらない点です。各章の終わりには、夫婦の「ずれ」を解消するための具体的な「処方箋」が提示されています。例えば、「感謝やねぎらいを伝える定型文を作る」「家事・育児タスクの“名もなき家事”まで全て書き出して共有する」など、どれもすぐに実践できるものばかり。我が家もタスクの見える化を試したところ、「こんなにやることがあったんだ」とお互いの大変さを認識でき、家事分担がスムーズに進むようになりました。
ポイント3:「自分だけじゃない」という安心感が得られる
産後の孤独感は本当に辛いものです。「こんなにイライラするのは、私が母親失格だからだ」と自分を責めてしまうこともありました。しかし、この本に登場する多くの夫婦のエピソードを読み、「悩んでいるのは私だけじゃないんだ」と心から安心できました。産後の心身の変化はホルモンの影響も大きく、誰にでも起こりうることなのだと知れただけで、心がふっと軽くなりました。この安心感が、前向きに問題と向き合うための土台になったと感じています。
注意点や改善してほしい点
全体的に大満足の一冊ですが、正直なレビューとして気になった点も挙げておきます。
一つ目は、やや女性(妻)側の視点に寄り添った書き方になっている部分があることです。もちろん、それが多くの産後ママの心を掴む理由なのですが、夫に「これ読んでみて」と渡した時に、「なんだか責められているみたいだ」と感じてしまう男性もいるかもしれません。もう少し男性読者を意識した章があっても良いかなと感じました。
二つ目は、紹介されている事例が、比較的モダンな考え方を持つ共働き夫婦の家庭に寄っている印象を受けた点です。様々な家庭環境や価値観がある中で、もう少し多様なケーススタディがあれば、さらに多くの読者が自分事に置き換えて考えやすくなるのではないかと思いました。
どんな人におすすめか
この本は、以下のような方々に特におすすめしたいです。
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産後、パートナーとの関係がギクシャクしている方
すれ違いの原因を言語化し、関係修復への具体的な道筋を示してくれます。喧嘩ばかりで疲れてしまった夫婦にとって、まさに救世主となる一冊です。 -
これから出産を控えているプレパパ・プレママ
産後に何が起こるのかを夫婦で事前に学んでおくだけで、避けられる衝突はたくさんあります。「産後クライシス」の予防接種として、ぜひ二人で読んでおくことを強くおすすめします。 -
「なんで分かってくれないの?」と孤独を感じているママ
あなたの抱えるモヤモヤは、決してあなた一人のせいではありません。この本が、その苦しみを理解し、客観的に状況を捉え直す手助けをしてくれるはずです。
まとめ
「ふたりは同時に親になる 産後の「ずれ」の処方箋」は、単なる育児書や夫婦円満マニュアルではありません。産後という大きな変化の波を乗り越え、夫婦が「親」という新しいステージで最高のパートナーシップを築くための、実践的なガイドブックです。私にとっては、この本との出会いがなければ、夫との関係はもっとこじれていたかもしれません。それくらい、価値のある一冊でした。もしあなたが産後の夫婦関係に少しでも悩んでいるなら、この本がきっと突破口を見つける手助けをしてくれるはずです。

