導入
最近、ニュースで「仮想通貨」や「Web3」といった言葉をよく耳にしませんか? なんとなく凄そうだとは思うものの、その実態やリスクについてはよく分からない…という方も多いのではないでしょうか。私もその一人で、特に数年前に世間を震撼させた仮想通貨取引所「FTX」の破綻事件については、断片的な情報しか知らず、ずっとモヤモヤしていました。一体、あの巨大帝国で何が起こっていたのか。その真相を知りたいという強い知的好奇心から、評判の高かった本書『1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊』の購入を決めました。楽天ポイントが貯まっていたこともあり、ぐるぐる王国 楽天市場店でポチッと注文。読んでみた結果、これは単なる事件の記録ではなく、人間の欲望と慢心が渦巻く、一級のノンフィクションエンターテイメントでした!
この商品について
本書『1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊』は、2022年に突如として崩壊した巨大仮想通貨帝国「FTX」の内幕を、緻密な取材に基づいて描き出したノンフィクション書籍です。著者は『マネー・ボール』や『世紀の空売り』で知られるマイケル・ルイス。今回私は、2024年7月5日に「ぐるぐる王国 楽天市場店」にて、価格2200円(税込)で購入しました。注文から数日で手元に届き、早速その分厚いページをめくり始めました。
実際に読んでみた感想
まず本を開いた第一印象は、「文字がぎっしり…専門用語も多そうで難しそうだな」というものでした。正直、少し身構えてしまったのですが、読み始めてすぐにその心配は杞憂だったと気づきます。まるで海外ドラマのワンシーンを見ているかのような、スピーディーで臨場感あふれる文章に、あっという間に引き込まれてしまいました。
仮想通貨の専門的な話も出てきますが、それ以上に中心人物であるサム・バンクマン=フリードをはじめとする登場人物たちの人間模様がとにかく面白い。天才的な頭脳を持ちながらも、どこか常人離れした価値観を持つ彼らが、どのようにして巨万の富を築き、そして一瞬にして全てを失うに至ったのか。その過程が、生々しい会話やエピソードと共に克明に描かれています。
単なる経済事件の解説書だろうという当初の期待は、良い意味で大きく裏切られました。これは、テクノロジー、金融、そして人間の心理が複雑に絡み合った、現代の寓話のような物語です。ページをめくる手が止まらず、週末の二日間で一気に読了してしまいました。読後には、事件の全貌を理解できた満足感と、巨大な虚構が崩れ去った後の奇妙な静けさが心に残る、非常に読み応えのある一冊でした。
良かったポイント3つ
実際に読んでみて、特に「これは買って正解だった!」と感じたポイントを3つご紹介します。
ポイント1:圧倒的な取材力と臨場感
著者のマイケル・ルイスは、事件の中心人物であるサム・バンクマン=フリードに密着取材を行っており、その内容は他のどの報道よりも詳細で深掘りされています。まるで自分がFTXのオフィスにいて、彼らの会話をすぐそばで聞いているかのような錯覚に陥るほど。登場人物たちの息遣いや緊迫感がダイレクトに伝わってくるため、ノンフィクションでありながら、最高級のサスペンス小説を読んでいるような興奮を味わえました。
ポイント2:複雑な事件を驚くほど分かりやすく解説
「仮想通貨」や「ブロックチェーン」と聞くと、どうしても専門的で難しいイメージがありますよね。しかし本書は、そうした技術的な背景を知らない読者でもストーリーを追えるように、巧みに構成されています。複雑な金融スキームや事件の背景を、人間ドラマの中に溶け込ませることで、自然と頭に入ってくるのです。ニュースだけでは理解できなかった事件の本質を、物語として楽しみながら学べる点は大きな魅力でした。
ポイント3:強烈なキャラクターが織りなす人間ドラマ
この本の主役は、間違いなく「人」です。風変わりな天才サム・バンクマン=フリード、彼を取り巻く若きエリートたち、そして彼らに巨額の資金を投じた投資家たち。それぞれの野心、傲慢、嫉妬、そして裏切りが赤裸々に描かれており、単なるビジネス書や経済書にはない深みを与えています。なぜ彼らは道を踏み外してしまったのか。その問いを考えさせられる、非常に示唆に富んだ内容でした。
注意点や改善してほしい点
全体的に大満足でしたが、正直なレビューとして気になった点も少しだけ挙げておきます。
登場人物が多くて少し混乱するかも
物語には非常に多くの人物が登場します。特に序盤は、誰がどの立場で、どのような関係性なのかを把握するのに少しだけ苦労しました。巻頭に主要な登場人物の相関図のようなものがあれば、よりスムーズに物語の世界に入り込めたかもしれません。
軽い気持ちで読むには少し重厚
エンターテイメント性が高いとはいえ、扱っているテーマは複雑で、情報量も膨大です。通勤電車の中などでサクッと読むというよりは、休日にじっくりと腰を据えて読むのに向いている本だと感じました。読むためには、ある程度の時間と集中力が必要です。
どんな人におすすめか
この本は、以下のような方に特におすすめしたいです。
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経済ニュースの裏側を知りたい人
FTX事件のニュースを断片的に知っているけれど、その真相をもっと深く知りたい方に最適です。点と点が線で繋がり、事件の全体像がクリアになる快感を味わえます。 -
面白いノンフィクションを探している人
実話に基づいたスリリングな物語が好きな方には間違いなく刺さるはず。手に汗握る展開の連続で、読書に没頭する楽しさを再確認させてくれる一冊です。 -
投資やビジネスに携わっている人
現代の金融市場が抱えるリスクや、急成長するスタートアップの光と影を学ぶための、これ以上ないケーススタディになります。多くの教訓と学びが得られるでしょう。
まとめ
『1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊』は、私の知的好奇心を完璧に満たしてくれる、衝撃的で非常に面白い一冊でした。仮想通貨に詳しくなくても、一つの壮大な人間ドラマとして誰もが楽しめる内容に仕上がっています。テクノロジーの進化がもたらす光と闇、そして人間の変わらない欲望の形を、これほどリアルに描き出した本はなかなかないでしょう。個人的なおすすめ度は文句なしの星5つです。少しでも気になった方は、ぜひ手に取ってみてください。

