導入
「あと少し待てばもっと上がるはず…」と欲張って利食いのタイミングを逃したり、「すぐに戻るだろう…」と根拠のない期待で損切りできず、塩漬け株を作ってしまったり。そんな経験、トレーダーなら一度はありますよね。何を隠そう、私も長年「コツコツドカン」を繰り返し、感情に振り回される自分のメンタルの弱さにほとほと嫌気が差していました。何冊か本を読んでも、しっくりくる答えが見つからない。そんな時、伝説的トレーダーとして名高いアレキサンダー・エルダー博士のこの本を楽天ブックスで見つけました。レビューの評価も高く、藁にもすがる思いで購入したのが2020年のことです。結論から言うと、この一冊との出会いが、私のトレードとの向き合い方を根本から変えてくれました。これは単なる技術書ではなく、トレーダーとしての「自分」を深く見つめ直すための、最高の教科書です。
この商品について
今回ご紹介するのは、アレキサンダー・エルダー博士が執筆した「利食いと損切りのテクニック トレード心理学とリスク管理を融合した実践的手法」です。有名な投資本シリーズである「ウィザードブックシリーズ」の一冊で、私は楽天ブックスにて4180円で購入しました。本書は、その名の通りトレードにおける「出口戦略(利食いと損切り)」に特化しつつ、その判断を狂わせる「心理学」の側面と、市場で生き残るための「リスク管理」を融合させて解説しているのが最大の特徴です。
実際に使ってみた感想
本を手に取った第一印象は、「思ったより分厚いな」というものでした。正直、タイトルからもっとドライでテクニカルな手法が淡々と書かれているだけの内容を想像していたんです。しかし、ページをめくり始めてすぐにその予想は良い意味で裏切られました。本書の根幹をなすのは、テクニック以前の「トレーダー心理」の徹底的な分析でした。なぜ私たちは恐怖を感じ、欲望に駆られるのか。そのメカニズムを精神科医でもある著者ならではの視点で解き明かしていく様に、ぐいぐい引き込まれました。
読み進めるうちに、過去の自分の失敗トレードが次々と思い起こされ、「あの時の判断ミスは、この心理状態が原因だったのか!」と何度も膝を打つことになりました。チャートの具体例も豊富で、ただ理論を読むだけでなく、実際のトレードシーンを思い浮かべながら学べるのが非常に実践的だと感じました。単に知識をインプットするのではなく、自分のトレード日誌と照らし合わせながら「対話」するように読んだことで、内容が深く自分の中に浸透していく感覚がありました。これは、小手先のテクニックだけを求めていた私にとって、まさに目から鱗の体験でした。
良かったポイント3つ
- 心理学に基づいた具体的な行動指針
本書の最大の魅力は、感情がトレードに与える影響を精神医学の観点から深く解説し、その上で具体的な対策を示してくれる点です。例えば「損失を確定させたくない」という心理がなぜ働くのかを理解した上で、「トレード記録を徹底的につける」「事前に損切りラインを決めて必ず注文を入れる」といった、感情を排除するためのシステム作りの重要性を教えてくれます。机上の空論ではなく、今日からすぐに実践できる行動プランが満載なのが本当にありがたかったです。 - 明確な「利食い」と「損切り」のルール設定
「なんとなく上がりそう」「そろそろ危ないかも」といった曖昧な判断から卒業させてくれる、明確なルール設定の考え方が秀逸でした。移動平均線やチャネルラインを使った具体的な損切りポイントの置き方、目標利益に達した際の分割利食いの方法など、すぐに自分のトレードルールに組み込めるテクニックが豊富に紹介されています。これにより、エントリーからエグジットまで、一貫性のあるトレードプランを立てられるようになりました。 - リスク管理の重要性を骨の髄まで叩き込んでくれる
「トレードで最も重要なのは、大きく勝つことではなく、市場から退場しないことだ」。この本質を、本書は何度も繰り返し教えてくれます。特に、1回のトレードにおける損失を口座資金の2%以内に抑える「2%ルール」や、月間の損失を6%以内に抑える「6%ルール」といった具体的な資金管理術は、私のトレード観を180度変えました。これを徹底するだけで、精神的な余裕が生まれ、冷静な判断ができるようになったと感じています。
注意点や改善してほしい点
- 海外の事例が中心であること
著者が海外のトレーダーであるため、当然ながらチャート例や市場の話題はアメリカのものが中心です。日本の個別株をメインに取引している方にとっては、少し馴染みがなく、イメージが湧きにくい部分もあるかもしれません。ただ、解説されているテクニックや心理学の本質は、どの市場にも共通して通用するものなので、大きな問題ではないと感じました。 - 全くの初心者には少し難しい部分も
本書は、移動平均線やサポートラインといった基本的なテクニカル指標の知識があることを前提に話が進む箇所があります。トレード経験が全くない方が最初に読む一冊としては、少し専門用語に戸惑うかもしれません。まずは簡単な入門書で基礎を学んでから手に取ると、本書の価値をより深く理解できると思います。
どんな人におすすめか
- 感情的なトレードで失敗しがちな人
「利食いは早く、損切りは遅い」という典型的な負けパターンから抜け出せない方に。本書の心理学アプローチが、あなたのトレードを冷静で規律あるものに変えるきっかけを与えてくれるはずです。 - 自分なりのトレードルールを確立したい人
エントリーはできても、出口戦略にいつも迷ってしまうという方にぴったりです。再現性の高い具体的なルール作りのヒントが満載で、あなただけのトレードシステムを構築する上で強力な羅針盤となります。 - 中級者以上でパフォーマンスが伸び悩んでいる人
ある程度の知識と経験はあるものの、なぜかトータルで利益が安定しない…そんな壁にぶつかっている方にもおすすめです。本書を読むことで、自分では気づけなかったトレードの弱点や改善点が見えてくるでしょう。
まとめ
「利食いと損切りのテクニック」は、単なる手法を解説した本ではありません。トレーダーという生き方そのものと向き合い、自分自身の弱さを克服するための「心の指南書」です。私はこの本を読んでから、一回一回のトレード結果に一喜一憂することがなくなり、長期的な視点で規律を守ることの重要性を学びました。価格は4180円と決して安くはありませんが、この本で得られる知識は、一度の大きな損失を防ぐだけで十分すぎるほど元が取れると断言できます。もしあなたがトレードの壁にぶつかっているなら、この一冊が突破口になるかもしれません。
楽天で購入を検討している方は、ぜひチェックしてみてください!

